※この記事は
「episode“+α”」の続きです。
もはや地球人に選択の余地は無かった。ミサイルの直撃にも耐えたスペースアルファの生命力を考慮し、攻撃には対怪獣兵器で最も効果の高いブラズマ炸裂弾を使用することになった。
「許してくれ…攻撃準備!」
全人類を守るため防衛隊は苦渋の決断を下した。スペースアルファに向け、プラズマ砲の照準が合わされる。
「地球人諸君・君たちの懸命な判断を評価する・敗れたとはいえ最後まで果敢に戦った君たちとスペースアルファに敬意を表し・我々からせめてもの手向けをくれてやろう」
「生命維持装置・リミッター解除」
「くひッ?!」
「ひっ?…ひぅッ…あ…あひッ…ひぁァァァァァァーッ!」
接続されていた生命維持装置から、脳と心臓に強制的にエネルギー波が注入された。スペースアルファの意識が戻り、同時に全身を激痛が襲った。
「あァーッ!や…やめ…は…ひ…ひぬッ!…しぬゥ…い…いやァァァーッ」
限界値を超えたショックを与えられた心臓は激しく脈打ち、鼓動と共に全身の傷から噴水のように鮮血が吹き出す。スペースアルファは不規則な呼吸で喘ぎもがきつづける。
「…酷い、あれを撃てというのか!」
「隊長!我慢できません!スペースアルファを救出しましょう!」
「待て!…それは…できない」
「あ…ああッ…」
痛みと恐怖に混乱しながら、スペースアルファは防衛隊の存在に気付いた。だが、その砲塔は自分に向けられている。
「…いゃ…やぇ…て…おねがぃ…」
「…攻撃開始」
「いやァァァァーッ!」
スペースアルファの断末魔の絶叫が響く。やがて凄まじい砲撃音にその声はかき消され、スペースアルファの姿も爆発と猛煙に隠れて見えなくなった。
「攻撃…中止」
砲撃が止み、あたりを静粛が包む。破壊された十字架の瓦礫から垣間見えるスペースアルファの身体はぴくりとも動かない。
「隊長!円盤が!」
星人の母船が降下して来た。
母船から牽引光線が発せられ、スペースアルファの身体を引き上げる。
もはや、確認する必要も無かった。スペースアルファは砲撃の中で半身を吹き飛ばされ、すでに息絶えていた。あまりにも無惨な亡骸に防衛隊も、見守っていた市民達も言葉を失い、ただ絶望にくれるしかなかった。
「地球人諸君・交渉は成立した・本日よりこの星は我々が支配する・改めて我々に逆らうものの哀れな末路を見るがいい」
空中に吊るされたスペースアルファの死体に、更に光線が浴びせられた。
光線が消えたとき、スペースアルファの身体は特殊な金属でコーティングされていた。まるでそれは黄金の彫刻のように輝いていた。
こうして、地球は異星人によって征服され、人類はその管理下におかれることとなった。かつて地球を守り戦ったスペースアルファの成れの果ては、彼等の勝利を記念するモニュメントとして飾りつけられ、今日もうつろな瞳で人々を見つめている。
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- 2009/07/28(火) 01:34:14|
- スペースシスターズ
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