※この記事は
「episode“+α”」の続きです。
全人類の存命の為、非情にも決断は下された。処刑台に拘束されたスペースアルファに向け、防衛隊のミサイルが発射された。
「地球人め、気に入らんな…敗れたとはいえ自分達を守っていたものをあっさりと見捨てるとは。だが、要求に応じた以上貴様達の安全は保証してやろう」
だが、そのとき…
「グェェッ!」
怪獣に背後から攻撃が加えられた
「何?」
「はぁ…はぁ…ぁ…っ」
「貴様、まだ生きていたのか」
スペースアルファは生きていた。しかも傷ついた身体で再び怪獣に戦いを挑もうとしているのだ。
「死ねっ!」
「っ!」
星人の刃を辛くも避けるスペースアルファ
「スペース・ビーム!」
捨て身で怪獣に放つ、全エネルギーを込めたゼロ距離からの必殺光線。だが…
「効かなぃ…あゥ!」
「グェェァァア!」
怪獣は全く動じず、爪の一撃でスペースアルファを吹っ飛ばした。
「馬鹿め、その怪獣にはお前の攻撃は通用しないと言っただろうが」
地面に叩き付けられたスペースアルファの全身に激痛が走る。
「あふぅ…くゥ!」
立ち直る隙をあたえず怪獣の爪がその首筋に迫った。
「ひぅッ!」
「ひぐっ…は…離し…ァ…」
怪獣の爪から逃れようと必死に抵抗するスペースアルファ。しかし喉に食い込む爪は万力のようにびくともしないまま、じわじわと呼吸の自由を奪っていく。
「く…くひッ…ぃき…が…」
意識が朦朧としはじめたその時…
「グギェェェ!」
「くふぁゥ!」
怪獣の左腕がいきなり突き出され、無防備なスペースアルファの腹にするどい爪の一撃が深々と突き刺さった。突然の衝撃にスペースアルファの意識が、飛んだ。
スペースアルファの手足が動きを止め、だらりと垂れ下がった。怪獣がゆっくりと爪を引き抜くと、傷口から真っ赤な鮮血とともに臓器が溢れ出た。そのショックでスペースアルファは再び意識をとりもどし、声にならない悲鳴で絶叫した。
「あ…ぐっ…んっ……ゥ」
再び地面に打ち捨てられ、激痛に喘ぎ身悶えながらも懸命に立ち上がろうともがくスペースアルファ。その姿をあざ笑うように見下ろしながら星人が歩み寄ってきた。
「ふん…まだ我々に歯向かうつもりか?気に入らんな、地球人どもはとっくに降伏した。しかもお前は見捨てられたのだぞ。お前も地球人など見捨てたらどうだ。我々に降伏するというなら、命だけは助けてやってもいいぞ」
「…そんな…」
「そんなこと…できるかぁァーっ!」
スペースアルファは怒りの叫びとともに眼前の敵に拳を叩き込む…が、渾身の一撃は難なく受け止められていた。
「…ぇ」
「それが答えか…」
「気に入ったぞ!」
「あゥッ!」
星人の刀の一撃がスペースアルファの左腕を叩き斬った。
「っ…手?…ぁ…ぃやああああああーッ!」
「服従より死を選ぶというのか、いいだろう、与えてやるぞ、敗者に相応しい死に様を!」
星人に命じられ怪獣は今度はスペースアルファの右腕をつかみ強引に引き上げた。
「さぁ、絶望と屈辱を存分に味わえ!」
「ひっ…」
「グェオオオ!」
怪獣の爪が勢いよく振りおろされると、ばっさりと切り裂かれたスペースアルファの右胸が鮮血とともに宙を舞った。
「ひッ…きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァーッ!!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅっ!ひっ…い…嫌っ!嫌あァァァァァァーッ!あぁッ!」
痛みと恐怖がスペースアルファから正常な判断力を奪い去った。地球を守る戦士はもはや迫り来る死におびえ泣き叫ぶだけの哀れな少女と化していた。
「嫌っ…死…しぬぅ…嫌…いやぁぁぁぁ!た…たすけて…おねがィ…たすけてぇ…だれかぁ…たすけてぇぇぇ!」
「だまれ」
「ひぐッ!…んッ!…んんーゥ!」
切断された腕がスペースアルファの口にねじ込まれた。
「助けて、だと?…貴様」
「ん…んんっ…ン」
「ならばなぜさっき負けを認めなかった?歯向かう以上は戦略ぐらい考えて無かったのか?…まさか、都合良く奇跡でも起きると思っていたのか…」
「気に入らんなぁ!」
「んゥッ!」
残る右手までも一刀の元に両断され、スペースアルファは三たび地に伏した。
「んんんーっ…んっ…んんぅ…」
腕は喉奥にまで食い込み外すすべも無く、立ち上がる力もすでに無く、スペースアルファは電池の切れかけたオモチャのように震えながら少しでも遠くへ逃れようと這いずり続ける。
「もういい…殺せ…ん?」
星人は背後に何かの気配を感じた。
「そこか!」
星人の剣から発せられた光に包まれ動きを止めたのは防衛隊の対怪獣ミサイルだった。
「…地球人め、まだこんな悪あがきを」
「ふっ…しかし地球にはまだお前を見捨てていない奴らがいたようだな、喜ぶがいい。いや、お前ごと我々を狙ったのかもしれない、か」
「どっちにしろ、これはお前にくれてやろう」
「んむゥゥーッ?!」
「ーっ!…んんっ…んんんんゥーッ!!!」
「はーっはっはっはっはっ!どうした?プレゼントは気に入ってくれたようだな…くははははは…いいザマだ。気に入ったぞ、よし、私たちから最期にとっておきのプレゼントをくれてやろう…」
「受け取るがいい!あーっはっはっはっは!」
「んっ!ん…んんんんんぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
怪獣と星人による必殺の攻撃と対怪獣ミサイルの誘爆。衝撃で左腕は口から外れていた。しかしスペースアルファはもう言葉を発することはできなかった。いや、言葉だけではない、手足の自由も、視力と聴力までも既に失われ、ただボロ布のように自らの流した血だまりの上に横たわっていた。
怪獣は沈黙したスペースアルファに爪を突き立てると高々と抱え上げた。無惨にも爆発で左足は失われ、大きくえぐれた下腹部から鮮血が滝のように流れ落ちた。串刺しにされ力なく垂れ下がる身体にはもはや何の反応も無く、ただ不規則に起こるかすかな痙攣がかろうじて生命を維持していることを示すのみであった。
「地球人にもう一度だけ生き延びるチャンスを与えよう・現在スペースアルファは生命維持装置に接続され我々の手中にある・我々に対する降伏の証として今度こそお前たちの手でスペースアルファを完全に抹殺せよ」
「繰り返す・我々に対する降伏の証として今度こそお前たちの手でスペースアルファを完全に抹殺せよ」
・降伏する・降伏しない
- 2009/07/27(月) 14:23:24|
- スペースシスターズ
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